2015年1月6日火曜日

HJ-9対戦車ミサイル(紅箭9)

▼HJ-9 ミサイル本体とランチャー


▼WZ-550 HJ-9(紅箭9)対戦車ミサイル搭載型(4輪タイプ)



▼イヴェコ40 WM四輪駆動車(南京 NJ2046)に搭載されたHJ-9A


HJ-9性能緒元
全長 
直径152mm
重量37kg
最大速度 
射程100m~5000m
誘導方法セミアクティブ・レーザー誘導式
装甲貫通能力1200m(均質鋼板)、400㎜(68度の傾斜鋼板)
発射速度2発/分

HJ-9は中国の第三世代の対戦車ミサイルである。

複合装甲や爆発反応装甲など戦車の防御能力の向上に伴い、次世代の対戦車ミサイルは更なる貫通能力の強化と新型装甲への対応が求められるようになった。次世代の対戦車ミサイルに関する研究は1980年代中期から始まり、1988年から本格的な開発が開始された。HJ-9の開発では、装甲貫通能力の更なる向上、複合装甲や爆発反応装甲への対応、射程の延長、全天候性能などが求められた。特に難航したのは新型のセミアクティブ・レーザー誘導装置の開発であった。HJ-9は1990年代後半に実用化され、1999年の天安門広場における軍事パレードで一般に公開された。

HJ-9は四輪駆動車やWZ-550 対戦車ミサイル搭載車(90式/92式装輪装甲車の派生型)などの車載運用を基本としており、歩兵による携行は考慮されなかった。それは貫通能力を強化するためミサイル本体が大型化したことによるものである。HJ-8と比較すると、直径120mm→152mm、重量11.2kg→37kgと大型化されていることが分かる。

HJ-9は、光学・レーザー照準器と赤外線暗視装置を装備した発射機にチューブ式ミサイルコンテナを装着する。そのほか照準装置と一体化した昇降式の四連装発射機も開発されている。

誘導方式はセミアクティブ・レーザー誘導方式を採用。ミサイルの命中精度の向上と速度向上に大きな効果があった。照準装置は全てデジタル化されている。 ミサイルの照準手は攻撃目標上に照準装置をあわせるだけで良く、誘導装置は目標への命中まで自動的にミサイルを誘導する。HJ-9の最大射程は5500mを超える。全天候性能が強化されたのもHJ-9の特徴であり、その赤外線暗視装置は探知距離4000m、最大目標識別距離2500mの性能を有する。

HJ-9の開発で特に重視されたのが装甲貫通能力の向上である。当初の目標は1100㎜の均質鋼板の貫通であったが、開発中に均質鋼板1200~1300㎜、68度の傾斜鋼板に対して400㎜の貫通能力を持つことが求められるようになった。そのためミサイルの直径を152㎜に拡大して炸薬を増やし、弾頭をタンデム化することで爆発反応装甲や複合装甲に対する貫通能力を強化した。弾頭は対戦車攻撃用の成型炸薬弾と、陣地攻撃用のHE弾の2種類がある。

HJ-9のバリエーションには基本型のHJ-9のほか、ミリ波誘導方式のHJ-9A(輸出型)、セミアクティブ・レーザー誘導方式のHJ-9Bがある。このほか空中発射型などの開発も行われている。HJ-9Aはイヴェコ40 WM四輪駆動車(南京 NJ2046としてライセンス生産)に搭載されている。
HJ-9基本型。セミアクティブ・レーザー誘導方式。
HJ-9A2002年に制式化された輸出型。ミリ波誘導方式を採用。暗視装置の目標識別距離が3000mに延長
HJ-9BHJ-9の改良型。セミアクティブ・レーザー誘導方式。

【参考資料】
兵工科技 2005年1月号「中国反坦克導弾的四次飛躍」
世界航空航天博覧 2005年6月下半月号「中国紅箭-9重型反坦克導弾総設計師訪談」
中国武器大全
Chinese Defence Today

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