2015年1月6日火曜日

中国次世代航空母艦計画

中国は1994年頃にロシアのネフスキー設計局から9935型と呼ばれる空母設計案の提案を受けた[3]。これはキエフ級空母(Project1143、排水量4万3,500t)を全通飛行甲板化し、艦首をスキージャンプ甲板としてアングルドデッキにカタパルトを装備した船型で、全長288m、排水量4万8,000トン、速力28ノットで艦載機40機を搭載し、短距離対空ミサイルの他に対艦ミサイルも装備する重武装の空母案だった。この提案は結局ペーパープランに終わったため、図面等は中国側に渡されなかった。

香港の「商報」紙は085型という4万8,000t級の通常動力型航空母艦について報道を行っている。085型は、全長300m、全幅70m、基準排水量6万トン、満載排水量8万トン級の空母であり、旧ソ連のウリヤノフスク級原子力空母(Project1143.7、排水量7万9,750t)に近い規模になるが、アメリカのキティホーク級空母(排水量8万3,300t)よりは小型の艦になるとしている。艦の外観はキティホーク級に似て複数のカタパルトとアングルドデッキを持つが、艦の内部構造はウリヤノフスクのものを参照しているとされる(中国はウリヤノフスク級の設計図をロシアから入手したとされる)。主機は中国国産の大型ガスタービンになる可能性がある。2012年に就役した中国初の空母「遼寧」の運用実績も、当然085型の建造に大いに参考にされると思われる。085型空母は2隻が建造され、1番艦は2015年に進水、2017~18年には就役、2020年までに2隻の戦力化が行われ、東海艦隊と南海艦隊に配備されるとの見通しを示していた。さらに085型の拡大改良型として、原子力動力を採用した「089型」原子力空母も計画されているが、こちらについてはまだ建造は決定しておらず、2020年ごろの中国の経済情勢に左右されるであろうとしている[5]。

上海沖の長興島に建設された世界最大規模の造船所である長興島造船基地と空母遼寧の再生工事を担当した大連紅旗造船廠の2つが国産空母建造の有力候補に挙がっている。長興島造船基地の参加企業の1つである江南造船集団の南大慶社長は、中国初の国産空母建造に向け「既に準備を整え、能力を備えた」と述べ、長興島造船基地で近く空母建造に着手する計画を認めた[6]。空母専用に350億元(約4803億円)をかけて建設された長興島造船基地の江南造船第三ドックは、全長580m、幅120mと中国最大級の規模を誇る。

米国防総省は2011年8月に発表した中国軍事動向年次報告書の中で、中国初の国産空母1番艦は2011年中に建造が始まり、早ければ2015年に就役すると見通しを示したが、2013年11月段階ではまだ国産空母の建造は確認されていない。国産空母については、085型、001A型などの名称が伝えられているが、具体的な情報についてはまだ乏しいのが現状。

▼参考:旧ソ連が計画したウリヤノフスク級原子力空母(Project1143.7)


【参考資料】
[1]朝鮮日報「中国、超大型原子力空母の建造を推進」(2007年3月28日)
[2]Yahooブログ~ロシア・ソ連海軍~「幻の「原子力空母」ウリヤノフスク級」(2006年11月1日)
[3]Yahooブログ~ロシア・ソ連海軍~「ロシア設計の中国「航母」案「9935型」」(2006年11月8日)
[4]峯村健司「中国、初の空母建造」(2008年12月30日/朝日新聞)
[5]香港商報電子報「中國首艘航母料2015年下水」(2009年1月8日)
[6]琉球新報「中国初の国産空母、建造着手へ 上海造船会社、準備終える」(2009年4月21日)
[7]峯村健司「中国、空母建造に着手 初の国産、15年完成目指す」(2009年8月29日/asahi.com)
[8]Yahooブログ~ロシア・ソ連海軍~「旧ソ連空母ワリャーグ近影(2009年8月)」(2009年8月30日)

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