▼輸送機に搭載される状態。
▼IL-76輸送機から投下される03式空挺歩兵戦闘車。
▼HJ-73対戦車ミサイルを発射する03式空挺歩兵戦闘車。
▼指揮車型(?)
■性能緒元
戦闘重量 | 8~12トン |
全長 | m |
全幅 | m |
全高 | m |
エンジン | ディーゼル(320hp) |
最高速度 | 68km/h |
浮航速度 | 6km/h |
航続距離 | 500km |
武装 | 30mm機関砲×1(350発) |
86式7.62mm機関銃×1(1,000発) | |
HJ-73対戦車ミサイル発射機×1(4発) | |
装甲 | アルミ合金装甲 |
乗員 | 3+4~5名 |
03式空挺歩兵戦闘車はNORINCO(North Industries Corporation:中国北方工業公司)が開発した中国初の空挺戦闘車。既に生産が開始されており、空挺降下演習にも参加している。生産番号はWZ-506。軍の制式名称としては当初「ZLC-2000」と伝えられたが、後に制式名称は「03式空降兵戦車(ZBD-03)」である事が明らかになった[1]。
1995年から中国はBMD空挺戦闘車を導入するため、ロシアと交渉を行っていた。しかしBMDシリーズは輸出された事例が少なく(旧ソ連諸国以外は、イラクとインドにBMP-1が輸出されたのみ)交渉は難航し、結局購入額が極めて高価になるとの理由でこの交渉は決裂した。そのため中国は独自に空挺戦闘車を開発しなければならなくなり、5年かけて03式空挺歩兵戦闘車を完成させた。当初03式はロシアのBMD-3空挺戦闘車のコピーと思われていたが、フロントエンジンを採用する等車体構造がBMD-3とは異なり全くの新規開発車輌である事が判明した[5]。ただしパラシュートによる重量物降下技術はロシアのものが使われているようだ。空軍空挺部隊への配備は2005年には開始された様で、同年8~9月に行われたロシアとの合同軍事演習「和平使命2005」では、IL-76MD輸送機から空中投下を実施し、その存在が明らかにされた[4]。
03式の車体は軽量化のためアルミ合金製装甲板で、戦闘重量は8~12トン[7]。車体前部右側に操縦手と車長席が設置され、左側はエンジンルームになっている。その後ろは戦闘室で砲塔内に砲手が座る。車体後部は兵員室になっており、ここに搭乗する兵士は車体後部ドアか天井にあるハッチから乗降車する。搭乗兵員用に覗き窓と射撃ポートが車体両側面と後部ドアに設けられている。車体は水密構造で浮航性を確保しており、履帯によって推進力を得て最高6km/hの速度で水上航行が可能。足回りには車高変更が可能な油気圧サスペンションが採用されており、輸送機搭載の際には全高を低くする事で容積を節約すると共に、着陸時の衝撃でサスペンションを痛めない様にしている。これはロシアのBMDシリーズでも採用されている機能である[7]。
砲塔はGCTWMと呼ばれるNORINCOが開発したモジュール砲塔で、86式歩兵戦闘車に搭載されテストが行われていた。砲塔重量は1,500kg。その主武装はロシアから技術提供を受けた30mm機関砲2A72を元にして開発された30mm機関砲で、発射速度は毎分300発。砲手は単射、3~5発連射、5~7発連射を選択できる。最大有効射程は、地上目標に対して,000m、空中目標に対して2,500mとされる。給弾機構は2種併用式で徹甲弾と榴弾を搭載し、それぞれ125発、225発を標準で積んでいる。砲の俯仰角度は-6~+60度で、高仰角がとれるためにヘリやビル内の目標とも交戦できる。砲塔の旋回や機関砲の制御は電気モーターにより行われるが、バックアップとして手動制御も可能。30mm機関砲と同軸で7.62mm機関銃が搭載され、3連の76式発煙弾発射機が砲塔両脇に装備される。昼夜間照準器は砲塔頂部左側に装備されているが、安定化はされていない。砲塔上部に設けられた砲手用サイトには赤外線式暗視装置が内蔵されている[7]。
HJ-73対戦車ミサイルは砲塔頂部右側に装備されている。HJ-73対戦車ミサイルはソ連の9M14Mマリュートカ(NATOコード:AT-3 サガー/Sagger)のコピーであるが、GCTWNに搭載されているのはその発展型で、元の手動式指令照準線式から半自動指令照準線式に向上化している。NORINCOは最大射程3,000m、命中率90%と主張している。また最新のHJ-73はタンデム式HEAT弾頭を装着しているので、ERA(Explosive Reactive Armor:爆発反応装甲)をつけた800mm厚の装甲を撃ち抜く事ができる、とNORINCOは主張している。
03式空挺歩兵戦闘車は少なくとも歩兵戦闘車型、指揮車型、[[HJ-8A対戦車ミサイル>]HJ-8対戦車ミサイル(紅箭8)]]を搭載する戦車駆逐型、装甲回収車型の4種類の派生型があるといわれている[7][8]。03式はIL-76輸送機 に3輌搭載する事が可能で、特殊パレットに搭載されて空挺降下を行うことが出来る。乗員は車輌とは別にパラシュートで降下して、地上に展開した後に03式に乗車する。
中国空軍では現在3個空挺師団を編制しているが、これらの部隊を投入できるだけの十分な数の輸送機を保有していないことが課題となっている。
【参考資料】
[1]新浪網「空降兵戦車方隊前往接受検閲」(2009年10月1日)
[2]軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[3]戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
[4]Chinese Defence Today「ZLC2000 Airborne Fighting Vehicle」
[5]Kojii.net「今週の軍事関連ニュース (2005-10-07)」
[6]Jane's Defence Weekly(2005年9月28日)
[7]MDC軍武狂人夢「03式空降装歩戦車」
[8]大旗網「首見的我軍装甲搶救型傘兵戦車已空降至災区?」
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