■85式122mm自走榴弾砲性能緒元
重量 | 20.5トン |
全長 | 7.093m |
車体長 | 6.369m |
全幅 | 3.200m |
全高 | 2.400m |
エンジン | 150L-12ディーゼル 450hp |
最高速度 | 57km/h |
航続距離 | 500km |
武装 | 86式122mm榴弾砲(W-86)×1(40発) |
12.7mm機関銃×1(500発) | |
69式40mm対戦車ロケットランチャー×1 | |
最大射程 | 15.3km(榴弾)、18.3km(ERFB弾) |
装甲 | 溶接鋼板 |
乗員 | 5名 |
85式自走榴弾砲は85式装甲兵員輸送車の車体に、ソ連製D-30 122mm榴弾砲のコピーである86式122mm榴弾砲(W-86)を搭載した自走砲。ただし、砲身長は3995mm、口径は32.75と原型よりやや短いものになっている。砲の旋回角は左右角22.5゜、俯仰角は-5~+70゜で、榴弾を使用した場合の最大射程は15.3km、ERFB弾を使用した場合は18.3kmとなっている。発射可能な砲弾の種類は、榴弾、ERFB弾、対戦車攻撃用の子弾運搬砲弾、焼夷弾、煙幕弾、照明弾等であり、そのほか原型のソ連製D-30 122mm榴弾砲用の各種砲弾の射撃も可能。最大発射速度は毎分6~8発で、車内に40発の砲弾を携行している。補助へ移送としては12.7mm重機関銃×1と69式40mm対戦車ロケットランチャー(RPG-7)×1を搭載している。なお85式はNBC防護能力を付与されており、車体迷彩には赤外線対策が施されている。
85式自走砲は、本格的な自走砲というよりは牽引砲を自走化した簡易自走砲という性格が強い車両である。これは当時の中国の厳しい開発状況(政治的混乱、財政難、技術的遅れなど)が背景に存在した。そのため性能が低いことは当初から織り込み済みであり、牽引式よりも要員を減らせることや機動性を向上できること、既存装備の流用で開発コストを減らし要員の習熟を容易にする等のメリットを取ったともいえる。またコマンドポスト車両等の砲兵科の車両をいずれも85式系APCにすることによる相互運用性の向上も視野に入れていた。しかし、文革の混乱や技術水準の遅れから開発に手間取ったことで、上記の利点も薄れ、各国の自走砲との性能差も更に開いてしまった。
85式は開発から数年後に密閉式旋回式砲塔に122mm榴弾砲を搭載した89式122mm自走榴弾砲(PLZ-89)が登場したこともあって生産は少数で終わった。中国軍のみで運用され、輸出は行われていない。
【参考資料】
戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
坦克装甲車両 2006年6月号「鉄甲戦神在怒吼(上)」(坦克装甲車両雑誌社)
Chinese Defence Today
戦車研究室
中国武器大全
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