2014年11月3日月曜日

その他の59式戦車近代化改修型

59式中戦車は、各型合計10,000両以上が生産され、3,000両以上が輸出され現在でも約5,000両が中国軍で就役している。これまで紹介してきた59-I式戦車(59A式/WZ-120A)59-II/59-IIA式戦車(59B式/WZ-120B)59DI/59D/59P式戦車以外にも、多種多様な派生型が登場し続けている。本稿では、これまで紹介し切れなかった59式のバリエーションについて分かる範囲で記述する。

59-III式(59C式) 

59-III式(別名59C式)は1990年代に登場したとされる59式の改良型の1つ。ただし、この車両については情報が乏しく詳細については不明。51口径105mmライフル砲を搭載した戦車であるとの説、もしくは83A式58口径105mmライフル砲を搭載した59D式戦車に相当する戦車であるとの説がある。


【参考史料】
Jane's Armour and Artillery 2006-2007 (Jane's Information Group)
劉志平的博客「中国59式到88式主戦坦克的技術発展(二)」

59改式戦車(59G式/B59G-1) 

59改式(もしくは59G式)戦車の名は、各種の新型装備のテストベットとされた59式に与えられた名称であり、同一の車種を表す名称では無い。同じ「59改式」の名称を持つ車両同士でも、改修内容は各車両でまったく異なっており、その車両にどのような改修がなされたのかを基にして識別する必要がある。

本稿で取り上げる、59改式(B59G)については、一説では59-II 式中戦車をベースに1986年に指揮戦車型として開発。「B59G-1坦克」と命名され、1987年4月に評価試験を行い、同年6月からアメリカ、イギリス、フランスで8項目の試験を実施したとされる。

新開発の105m滑腔砲のテストベットに使用された車両にB59Gの名称が用いられたとの記事もあるが、この車両については情報が少なく確たることは分からないのが現状である。

59改/G式(B59G-1)59-II 式戦車をベースに開発された指揮戦車型。
59改/G式(B59G)105mm滑腔砲のテストベット車両?詳細不明。

【参考史料】
劉志平的博客「中国59式到88式主戦坦克的技術発展(二)」

59式改装案 

NORINCOは、59式戦車やT-54/55を保有する国々に対して各種のアップグレード型の提案を行っているが、こちらは59-125や120mm砲搭載型に比べると小規模な改装で、その分低コストになっている。

主な改装内容は以下の通り
エンジン換装エンジンを730馬力の新型ディーゼルエンジンに換装することにより、機動力を向上させる。
火力強化主砲を換装せずに攻撃力を強化するため、中国製100mmAPFSDS-T弾を採用。
履帯換装原型のシングルピン・シングルブロック型履帯を、ゴムパットを装着可能なダブルピン・ダブルブロック型履帯に換装。
NBC対策システム導入59式では未搭載のNBC対策システムを新たに装備する。
ショックアブソーバーの採用機動性の向上と乗員の疲労軽減のため足回りにショックアブソーバーを組み込む。
命中精度の向上新型の射撃統制システムを採用、砲手用サイトをレーザー照準装置内蔵の新型サイトに変更。

【参考史料】
Jane's Armour and Artillery 2006-2007 (Jane's Information Group)

59式情報共有型 

データリンク装置などを搭載した車両では無いかと思われるが、詳細については不明。

砲発射式対戦車ミサイル搭載型 

▼GP-2対戦車ミサイルを積み込んでいる59式。砲手用サイトがGP-2の照準装置を内蔵したタイプに換装されている以外は原型のままの状態を保っている。


GP-2砲発射式対戦車ミサイルの運用を可能とした改修型。

GP-2砲発射式対戦車ミサイルは、ロシアから導入した9K116「バスチオン」砲発射式対戦車ミサイルを元に開発された対戦車ミサイルで100mm砲と105mm砲用の2種類が存在する。ミサイルの後部に薬莢を到着した状態で装填されており、ミサイル本体の重量は17.8kg、薬莢込みで19.8kg。約600mmの装甲貫通力を有しており、最大射程は5,000m。装甲車両だけでなく、トーチカなどの防御拠点や低空飛行を行うヘリコプターへの攻撃も可能。誘導方式はレーザー・セミアクティブ誘導で、運用する戦車は目標照射用のレーザー・デグジネーターを装備する必要がある。59D式の場合は、砲手用サイトにレーザー・デグジネーターを組み込む改装を受ける事になる。

59式戦車の近代化改装では59D式戦車のような攻撃力・防御力・機動力に渡り抜本的な改装を受ける場合もあるが、写真の車両のようにGP-2の運用能力のみを付与する小規模な改装に留まっている事例も見受けられる。

【参考史料】
「IDEX2007レポート(2)中国とパキスタンのAFV」『軍事研究』2007年6月(宇垣大成/㈱ジャパン・ミリタリー・レビュー)
Chinese Defence Today

支援射撃用 

蘭州軍区の砲兵部隊で運用される59式戦車



59式の中には、装甲部隊から砲兵部隊に転属されて、火力支援任務に使用される事例も確認されている。砲兵部隊では、直接・間接火力支援といった自走砲的運用、もしくは牽引式対戦車砲に代わって対戦車任務を行っていると見られている。

今後、59式の退役が進むにつれて、このような他任務に転用される車両も増えてくる物と思われる。

【参考史料】
Chinese Defence Today
SOHO社区 「我軍老坦克過剰、改行当炮兵用」

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