2014年11月8日土曜日

07B式122mm水陸両用自走榴弾砲(PLZ-07B)





性能緒元
重量
車体長
全幅
全高
エンジン
最高速度
航続距離
武装96式122mm榴弾砲(PL-96/D-30)×1
 88式12.7mm重機関銃(QJC-88)×1
 3連装発煙弾発射機×4
装甲
乗員

07B式水陸両用122mm自走榴弾砲(PLZ-07B)は、中国軍水陸両用部隊への配備が開始されたばかりの最新型122mm自走榴弾砲。着上陸作戦において上陸部隊に参加して間接・直接の火力支援を与える事を目的に開発されたものと推測される。

中国海軍陸戦隊や陸軍の水陸両用部隊では、部隊に追随して前線に近い距離での直接・間接の火力支援を行う自走砲として89式122mm自走榴弾砲(PLZ-89)を配備している。しかし、PLZ-89は限定された水上航行能力しか有しておらず、洋上からの着上陸作戦に使用するには限界がある事が知られていた。PLZ-07Bの開発においてはこの点を改善することが求められた物と見られる。

PLZ-07Bは、洋上での航行に必要とされる十分な浮力を確保するため、比較的大型のシャーシを採用している。シャーシの外観から、開発においては04式歩兵戦闘車(ZBD-97/ZBD-04/WZ-502)がベースになっていると思われる。これは、現在水陸両用部隊への配備が進められている05式水陸両用歩兵戦闘車(ZBD-05/ZBD-2000)や陸軍向けに開発された07式122mm自走榴弾砲と共通している。

PLZ-07Bの存在が明らかになった当初は、同自走砲は05式水陸両用歩兵戦闘車(ZBD-05)のファミリー車輌の1つであると見られていたが、細部が分かる写真の公開が進むにつれて両者には幾つかの相違点があることが明らかになった。

ZBD-05は水上での高速航行を実現することが最重視されており、車体前方の浮力を高める必要から車体先端部が大きく前に突き出した独特の形状を採用している。車体の前後には大形のボウ・フラップとトランサム・フラップが設けられており、水上航行時には両フラップを展開して車体後面にある2基のウォータージェットにより航行を行う。高速発揮を可能とするために、比較的大出力のエンジンを搭載しているとの情報もある。

PLZ-07Bのシャーシは一見ZBD-05に類似しているが、ZBD-05ほど車体前方が突き出しておらず、転輪が等間隔に配置されている点もZBD-05とは異なっている。PLZ-07Bでは、ZBD-05の様なトランサム・フラップは装備されておらず、車体前方にトリムベーンが装備されているのみ。トリムベーンの形状は04式歩兵戦闘車(ZBD-97/ZBD-04/WZ-502)に似ている。エンジングリルの形状も[04式歩兵戦闘車(ZBD-97/ZBD-04/WZ-502)]]に類似しており、ZBD-05とは搭載エンジンが異なっている可能性が高い。この他にも、幾つかZBD-05とは異なる箇所が存在する。

ウォータージェットを推進力としているのはZBD-05やZBD-04/97と共通。PLZ-07Bの水上航行速度は不明であるが、装備の差から見て水上航行性能を最優先として開発されたZBD-05ほどの速度は発揮できないであろう。同じ着上陸部隊向けに開発されたPLZ-07BとZBD-05シリーズが別々のシャーシを採用した理由については現段階では不明。

PLZ-07Bの砲塔は同時期に実用化された07式122mm自走榴弾砲(PLZ-07)に類似しており、砲塔システムを共用している可能性もある。搭載している122mm榴弾砲の性能については不詳であるが、形状から見て89式122mm自走榴弾砲(PLZ-89)のものと大きな差は無いように見える。なお、89式の122mm砲は榴弾で18km、FRFB弾で21kmの最大射程を有し、半自動装填装置により毎分6~8発の発射速度を確保している。射撃統制システムは、弾道計算機、航法装置、車体傾斜感知器などで構成されている。システムは自動化が進んでおり、あらゆる天候や地形において精密射撃を実施する能力を確保しているとされる[1]。PLZ-07Bは、水上航行中に目標の照準から砲弾装填までを完了しておき、接岸と同時に射撃を開始することが可能であり、着上陸部隊に対して緊密な支援火力を与える能力を有している[1]。砲塔上部には副武装として12.7mm重機関銃1挺を搭載。

前述の通り、PLZ-07Bは着上陸作戦において上陸部隊に追随しつつ、緊密な直接・間接火力支援を提供するため開発された車輌であり、今後PLZ-89に換わって両用作戦部隊への配備が進められるものと推測される。PLZ-07Bについては、開発時期やその経緯などまだ明らかになっていない点が多く、今後の情報公開が待たれる所。

【参考資料】
[1]新浪網「我軍新型両棲自行火炮在南海実施快反戦闘射撃」(2010年8月19日)

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