■性能緒元
重量 | 16.5トン |
全長 | 6.63m |
全幅 | 2.80m |
全高 | |
エンジン | BF8L413Fターボ・チャージド空冷ディーゼル 320hp |
最高速度 | 85km/h |
浮航速度 | 8km/h |
航続距離 | 320km |
武装 | 120mm迫撃砲×1(36発) |
12.7mm重機関銃×1 | |
装甲 | 均質圧延鋼装甲 |
乗員 | 4名 |
中国北方工業公司(NORINCO)は2001年6月に新型の120mm自走迫撃砲を公開した。この自走迫撃砲は92式装輪装甲車(ZLS-92)の車体に120mm迫撃砲を搭載した全周旋回式の砲塔を載せている。当初は海外市場向けに開発された様だが、その後05式120㎜装輪式自走迫撃砲(PLL-05)として制式化され2008年から中国軍への配備が開始された[1]。
05式は、路上機動性の高い装輪式の特性から緊急展開部隊に適した装備であり、Y-8輸送機(運輸8/An-12)による空中輸送も可能。路上最高速度は85km/h、水上浮航能力を有しており、車体後部のスクリューで8km/hの速力を発揮する[1]。乗員は、車長、砲手、装填手、操縦手の4名。車体前部に操縦席、車体中央部に動力部、その直後に砲塔を搭載、車体後部にはハッチがあり乗員の乗降や弾薬の搭載に使用される。
05式の砲塔は、ソ連/ロシアで開発された2S9「NONA-S」装軌式自走直射・迫撃両用砲や2S23「NONA-SVK」装輪式自走直射・迫撃両用砲が搭載している砲塔に良く似ている。両者の間にどのような関係があるのかは不明であるが、中国が第三国経由で上記の自走迫撃砲を入手して、自国での120mm自走迫撃砲の開発に生かした可能性も指摘されている[1]。
全溶接構造の砲塔に長砲身の120mm迫撃砲を搭載している。給弾方式は後装式で砲身にはライフルリングが施されている。砲の俯仰角度は-4~+80度であり、大仰角で砲弾を発射する通常の迫撃砲としての運用だけでなく、目標に対する直射も可能。ただし、ロシアの2S9や2S23と同じく車体や砲塔の装甲は薄いため、重火器を有する部隊との交戦に投ずるのは危険[2]。ロシアの2S9や2S23の場合、砲塔の方向射界は左右各35度に制限されているが、05式では全周旋回・発射が可能[1]。
砲弾の装填は装填手が装填補助装置の助けを借りて行う。発射速度は、榴弾の場合8発/分、迫撃砲弾の場合10発/分、HEAT弾による直射の場合は6発/分[1]。砲弾としては迫撃砲弾、榴弾(HE)、成型炸薬弾(HEAT)、射程12.8kmのロケット補助推進弾(HE-RAP)が用意されている。またレーザー誘導砲弾も運用可能と見られている[1]。砲弾のスペックは以下の通り[1][3]。
重量 | 全長 | 砲口初速 | 最大射程 | |
迫撃砲弾 | 13.9kg | 706mm | 426m/秒 | 8,500m |
HE弾 | 17.3kg | 600mm | 425m/秒 | 9,500m |
HEAT弾 | 10.5kg | 625mm | 540m/秒 | 1,200m |
HE-RAP弾 | 20.5kg | 1,000mm | 265m/秒 | 12,800~13,000m |
05式は、砲塔と車内に合計36発の砲弾を搭載している。このほか、自衛用火器として砲塔上部のキューポラに85式12.7mm重機関銃1挺、砲塔側面に3連装発煙弾発射機2基を装備している[1]。
05式は、済南軍区の第54集団軍127機械化軽歩兵師(師団に相当)の自走迫撃砲営(大隊に相当)に18輌が配備されている[1]。127師は装輪車輌を多数配備した優れた機動展開能力を有する緊急展開部隊であり[4]、05式は部隊にとって有力な火力支援車輌としての地位を有する。
【参考資料】
[1]Chinese Defence Today「PLL05 120mm Self-Propelled Mortar-Howitzer」
[2]戦車研究室「2S23ノーナSVK 120mm自走直射・迫撃両用砲」
[3]Army Guide「PLL05, Self-propelled howitzer」
[4]竹田純一『人民解放軍-党と国家戦略を支える230万人の実力』(ビジネス社/2008年)272-277頁。
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