2021年12月22日水曜日

KJ-2000早期警戒管制機(空警2000)

 


IL-76輸送機をベースにした空中早期警戒管制機。旧ソ連・ロシアのベリエフA-50AWACSに似ている。2003年に2機のKJ-2000が南京でテストされ、1機はCFTEのマークを付けた機体(No.762)で、もう1機は中國聨航と書かれた機体(B-4040)であった。その後、さらにB-4041、B-4043の機体番号を記載した機体が確認されている。

中国は1992年にロシアとの間でA-50をベースにしたAWACS機の購入に関して交渉を行っていた。その後AWACSシステムはイスラエルのIAI製Phalconフェーズドアレイ・レーダーを搭載する事になり、1994年に10億ドルで4機のAWACS機を導入する事に合意した。1999年にはレーダー搭載のためにイスラエルにA-50の機体が送られ、2000年5月にはほとんどの開発が終了。しかし当時のアメリカ・クリントン政権の圧力により、イスラエルは中国とのAWACS開発契約を取り消さざるを得なかった。その後イスラエルに送られていたA-50からPhalconレーダーとその他のAWACSシステムは下ろされたが、機体自体は2002年にロシア経由で中国に届けられ中国国内で保存されている。その後、ロシアからA-50U空中早期警戒管制機のリース、もしくは購入の提案が行われたが交渉は纏まらず、中国は自力でAWACSシステムを開発することを決定した。

KJ-2000は機体の外形はA-50AWACSを参考にしたと思われるが、搭載されているAWACSシステムは中国の南京電子技術研究所(第14研究所)で開発されたものである。そのフェーズドアレイ・レーダーはイスラエルのPhalconレーダー(EL2075)に若干劣っている程度の性能といわれ、初期型A-50が搭載するシュメーリ・システムよりは高性能らしい。KJ-2000のレドームはシュメーリ・システムとは異なり回転せず、その内部にアクティブ電子走査アレイ(active electronically steered array:AESA)レーダーのアンテナ・モジュール三基が360゜をカバーするために三角形に配置されている。No.762機は機首に受油プローブがあり、空中給油を受けることで活動時間を大幅に延長する事が出来る。

KJ-2000は、2006年7月から中国軍での運用が開始され、南京軍区所属の空軍第26師に配属されている。配備場所は無錫市の碩放空軍基地[1]。2008年5月12日に発生した四川大地震では、KJ-2000が災害地域上空に派遣されて救助用航空機の管制と無線中継局としての役割を果たしたことが報道された[2]。この時には、一度のフライトで10時間以上滞空し、同時に数百機の航空機に対して指揮管制を実施したとされる。また、2008年8月に開催された北京オリンピックでも空域警戒のため3機のKJ-2000が北京に派遣されたとのこと[3]。

【参考資料】
漢和防務評論2008年3月号「空26師強化預警能力」(漢和防務センター)[1]
別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
Chinese Defence Today
Chinese Military Aviation
大旗網
鉄血社区「実拍進京保衛奥運的"空警2000"大預:竟有三架之多!」[3]
中華網「官曝:中国新型指揮機引導抗震救済」(2008年6月12日)[2]

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